きくちです。ムサビ通信の皆様にはいつも大変お世話になっております。
今年も武蔵野美術大学の事業報告が出たようなので、ムサビ通信の在学生として、ムサビ通信のトピックにフォーカスして読み解いていこうと思います。
事業計画・報告
https://www.musabi.ac.jp/outline/disclose/report/
2023年度
https://www.musabi.ac.jp/wp-content/uploads/2024/06/report_2023.pdf
吉祥寺校の閉校
2023年は、吉祥寺校が廃止されました。
もうこの景色を見られないと思うと寂しいですね。
すでに解体工事が始まっており、跡地にはマンションが建設される予定です。
今後のムサビ通信のスクーリングは、鷹の台キャンパス、三鷹ルーム、市ヶ谷キャンパスで行われます。
ムサビ通信の経済規模は?
ムサビ通信の2023年度の経済規模を概算してみました。
データ
- 在学生数
- 油絵学科: 1,169
- 工芸工業デザイン学科: 103
- 芸術文化学科: 494
- デザイン情報学科: 996
- 授業料
- 授業料: 300,000円/年
- 入学金: 30,000円(新入生のみ)
- その他の費用(実習費、スクーリング費用など)は記載が無く変動が大きいため考慮しません。
計算
授業料の計算
- 油絵学科: 1,169人 × 300,000円 = 350,700,000円
- 工芸工業デザイン学科: 103人 × 300,000円 = 30,900,000円
- 芸術文化学科: 494人 × 300,000円 = 148,200,000円
- デザイン情報学科: 996人 × 300,000円 = 298,800,000円
合計: 350,700,000円 + 30,900,000円 + 148,200,000円 + 298,800,000円 = 828,600,000円
入学金の計算
- 油絵学科: 111人 × 30,000円 = 3,330,000円
- 工芸工業デザイン学科: 0人 × 30,000円 = 0円
- 芸術文化学科: 28人 × 30,000円 = 840,000円
- デザイン情報学科: 112人 × 30,000円 = 3,360,000円
合計: 3,330,000円 + 0円 + 840,000円 + 3,360,000円 = 7,530,000円
総合計
授業料: 828,600,000円 入学金: 7,530,000円
総合計: 828,600,000円 + 7,530,000円 = 836,130,000円
結論:ムサビ通信の経済規模は大体大学全体から見た一割
武蔵野美術大学通信教育課程の2023年度の授業料と入学金収入の概算は約8億3,613万円です。
これにそれぞれスクーリング費が加算されますので、実際の経済規模はもっと大きくなります。
大体10億円くらいにはなるのではないでしょうか?
武蔵野美術大学全体の年間の総収入が90億円ですので、これは大学全体の10%前後が通信教育課程の収入といえます。
「Web科目試験」導入など、ペーパーレス化が推進
学生支援と事務処理の効率化を目的として、通信教育課程のWeb科目試験とWeb出願システムの導入を検討しています。
2023年に出願した僕としては、紙で出願するシステムが結構大変だったので、今の新入生は羨ましい限りですね。
元来科目試験は全国の会場で行われていますが、Web上で科目試験が受けられるようになれば、遠方の人にとってはより嬉しい仕組みとなりそうです。
Webシステム全面更新の検討開始
資料によると、ムサビ通信では教職員によるワーキングチームを組織し、Webシステムの全面更新を含めた改修検討を進めているそうです。
現状がデザイン系の大学とは思えないデザインのWebシステムですので、使いやすくなるとなれば大変ありがたいニュースですね。
ただし、具体的な導入時期や更新時期については言及されていませんでしたので、今いる学生がその恩恵を受けられるかどうかはわかりません。
今年の卒業率は?
さて、気になる今年の卒業率を推計してみました。
ムサビ通信では正確な卒業率を公表していません。大学の職員の人に聞いても教えてくれませんでした。
2021年、2022年、2023年の通信教育課程の各年度の卒業数、在学生数、入学生数を整理し、表にまとめました。また、2023年度の各学科の卒業率を概算しました。
過去3年分のデータ
年度 | 学科 | 入学生数 | 在学生数 | 卒業数 |
---|---|---|---|---|
2021 | 油絵学科 | 97 | 1,117 | 91 |
2021 | 工芸工業デザイン学科 | – | 191 | 19 |
2021 | 芸術文化学科 | 33 | 429 | 29 |
2021 | デザイン情報学科 | 82 | 727 | 21 |
2022 | 油絵学科 | 126 | 1,152 | 96 |
2022 | 工芸工業デザイン学科 | – | 144 | 15 |
2022 | 芸術文化学科 | 38 | 474 | 22 |
2022 | デザイン情報学科 | 133 | 873 | 28 |
2023 | 油絵学科 | 111 | 1,169 | 88 |
2023 | 工芸工業デザイン学科 | – | 103 | 16 |
2023 | 芸術文化学科 | 28 | 494 | 27 |
2023 | デザイン情報学科 | 112 | 996 | 40 |
https://www.musabi.ac.jp/wp-content/uploads/2023/06/report_2022.pdf
https://www.musabi.ac.jp/wp-content/uploads/2022/06/report_2021.pdf
全体からの卒業率の計算(2023年度)
学科 | 全体卒業率(%) |
---|---|
油絵学科 | 7.53 |
工芸工業デザイン学科 | 15.53 |
芸術文化学科 | 5.47 |
デザイン情報学科 | 4.02 |
これらの卒業率は全体の学生数からの概算であり、実際の卒業率は留年や編入生、退学の影響を詳細に考慮する必要があります。
もう少し現実的な数字を推計してみました。
最終学年の人たちの卒業率を推計してみる
ムサビ通信は留年が当たり前のため、4年生(最終学年)が全体のかなりの割合を占めているとみられます。
そこで、4年生の人数を推計し、そこから実質的な卒業率(以下、実質卒業率)を算出してみましょう。
まず、4年生の人数を推定するために、以下の方法を使用します。各年度の入学生数を累積し、4年目に在学生数に対しての卒業率を計算します。以下に詳細な手順と結果を示します。
手順
- 各年度の入学生数を累積します。
- 在学生数から4年生の人数を推定します。
- 卒業率を計算します。
推定結果
油絵学科
- 2019年度入学生:1,169(2023年度在学生) – (2023年度入学生+2022年度入学生+2021年度入学生) = 1,169 – (133 + 126 + 97) = 1,169 – 356 = 813
- 4年生の人数:813人
- 実質卒業率 = 卒業数 / 4年生の人数 = 88 / 813 ≈ 10.82%
工芸工業デザイン学科
- 2019年度入学生:103(2023年度在学生) – (2023年度入学生+2022年度入学生) = 103 – (0 + 0) = 103(段階的に募集停止のため)
- 4年生の人数:103人
- 実質卒業率 = 卒業数 / 4年生の人数 = 16 / 103 ≈ 15.53%
芸術文化学科
- 2019年度入学生:494(2023年度在学生) – (2023年度入学生+2022年度入学生+2021年度入学生) = 494 – (38 + 33 + 27) = 494 – 98 = 396
- 4年生の人数:396人
- 実質卒業率 = 卒業数 / 4年生の人数 = 27 / 396 ≈ 6.82%
デザイン情報学科
- 2019年度入学生:996(2023年度在学生) – (2023年度入学生+2022年度入学生+2021年度入学生) = 996 – (133 + 82 + 112) = 996 – 327 = 669
- 4年生の人数:669人
- 実質卒業率 = 卒業数 / 4年生の人数 = 40 / 669 ≈ 5.98%
四年生の実質卒業率の計算結果まとめ
学科 | 4年生の人数(推計値) | 実質卒業率(%) |
---|---|---|
油絵学科 | 813 | 10.82 |
工芸工業デザイン学科 | 103 | 15.53 |
芸術文化学科 | 396 | 6.82 |
デザイン情報学科 | 669 | 5.98 |
だいぶ実際の卒業率に近づいているとは思いますが、あくまでも推定値です。退学、留年、編入生などを考慮しきれていないため、実際はもうすこし高いのではないかと思います。
今年の事業報告を読んだ感想
2023年度はWeb科目試験導入検討やWebキャンパスの刷新検討開始など、在学生にとっても嬉しいニュースが複数ありました。
卒業率は相変わらず低いですが、廃止された工芸工業デザイン学科の学生は、来年には100名を切る規模となりそうですね。
ムサビ通信は規模も小さく、近年は学科の募集停止やキャンパスの廃止など悲しいニュースが多いです。
ただ、大学としては長期的な計画がしっかり行われているので、学生としても安心して勉強に励めそうです。